はるけき森の雑語り

ボードゲーム「Root」についてなんか話していきたい

ルート 派閥個別インスト&軽い戦略紹介(猫野侯国編)

 どうも、幼女です。

 今回は非対称型ボードゲーム「ルート ~はるけき森のどうぶつ戦記~」に登場する派閥「猫野侯国」の個別インスト記事です。勝つための軽い戦略解説もしますが私の勝率はそこまで良くないのであくまで参考までに。戦略についての発言は全て頭に「※個人の感想です」がついてると思ってください(逃げの姿勢)。

共通ルールのインスト記事はこちら。先に読むことをオススメします。

猫野侯国ってどういう派閥?

 猫野侯国は森の現支配者であり、ゲーム開始時からマップ全体に兵士が分布しています。彼女らは森の資源を開発し、森を大きな工場に変えることを目論んでいます。そのためには森に色んな建物を建てる必要があり、建物には建築に必要な木材を切り出す「製材所」、カードをクラフトするための「工房」、建物を守るために兵士を生み出す「募兵所」の3種類あります。

 猫野侯国のターンの進み方は典型的な拡大再生産系ゲーム(資源を産出して、その資源でより効率的or大規模な資源産出を構築するゲーム)らしいものです。鳥歌フェイズに資源である木材を産出し、昼光フェイズに建築を行ってVPを獲得し、夕闇フェイズに休みます。

 また、猫野侯国は医術に長けています。彼女らは戦闘で兵士を失う時、コストを払うことで失った兵士を本拠地である「城砦」に復活させることができます。

 手堅く堅実に、盤石な支配を敷いて経済を回す、そういうプレイングが好きな人にオススメの派閥です。

小話

 猫野侯国を指して度々「彼女ら」と呼んでいますが、原文である英語版では猫野侯国は"Marquise de Cat(猫の侯爵)"となっています。このmarquiseは、侯爵を指す単語"marquis"の女性形で、原文でも猫野侯国を指示代名詞で呼ぶ時は"She"が使われています。

 兵士まで全員女の子って訳では無いでしょうけど、これからも「彼女ら」を使おうと思います。

これは猫野侯国の派閥ボード。詳細は後述。

あなたは森を征服した。次はあなたの名声に相応しい国を作らねばならないだろう。

──ボード左上の陣営概要より

セットアップ

 各派閥にはセットアップ優先度としてアルファベットが割り振られており、Aから順にセットアップを行います。猫野侯国は優先度Aなので、猫野侯国が参加するゲームでは必ず猫野侯国が最初にセットアップを行います。(慣れた人向けに、セットアップ順が任意になる高度なセットアップも存在します。詳しくは該当記事(未完成)で)

 猫野侯国のセットアップは以下の通り:

  1. 兵士コマと木材トークンの準備:兵士コマ25個と木材トークン8枚を手元に置く。この手元に置かれた配置物は以降「サプライ」と呼びます。
  2. 城砦トークンの配置:マップの四隅にある広場のいずれかを選び、そこに城砦トークを配置する。城砦トークンの使い道は特殊能力で説明します。

    赤丸で囲まれた広場から1つ選んで配置
  3. 駐留部隊の配置:城砦トークンを配置した広場と対角線上にある隅の広場以外の広場に兵士コマを1つずつサプライから配置する。ゲーム開始時から11体の兵士がマップ上に存在することになりますね。

    城砦を右上に配置したら、左下(赤丸)以外全てに1体ずつ。
  4. 開始時建物の配置:製材所、工房、募兵所をそれぞれ1つずつ、城砦トークンを配置した広場及びそれに隣接している広場に配置する。建物枠が許す限りは同じ広場に2つ以上置いてもいいです。

    城砦の広場にも隣接する広場にも置けます。
    画像は上のウサギ広場に工房、左のウサギ広場に募兵所と製材所を置きました。
    追記:間違えて本来共通セットアップ時に遺跡タイルが置かれるはずの建物枠に
    猫野侯国の建物を配置しちゃいました。
    実際のセットアップ時には空の建物枠に置いてください。
  5. 建物エリアを埋める:残った建物タイル各種5枚ずつを、派閥ボード上の対応する段に右から順に埋める。これらがこれから建てる予定の建物になります。

    右詰めで配置します。エリアの見方は建築をする時に詳しく説明します。

 これでセットアップは完了です。

 そしてセットアップ中に城砦トークという特殊なトークンが登場してます。説明しましょう。

城砦トークンと特殊能力

 城砦トークンが置かれた広場は2つの特殊能力を持つようになります。派閥ボードの上に書かれています。

 1つ目は「城砦がある広場に他のプレイヤーは配置物を配置できない」というもの。できないのは「配置」なので、兵士を「移動」で城砦広場に入れることはできますが、直接兵士を配置したり建物やトークンを置くことはできません。トークンで配置物を破壊する派閥もいるし、相手は城砦広場に兵士を突然湧かせられなくなるので、これ自体は城砦トークンを簡単に破壊されないための能力と思われます。

 2つ目は「野戦病院」。あらゆる場合で兵士を1体以上取り除かれた時、兵士を取り除かれた広場と同じ動物種のカードを手札から捨てることで、それらを全て城砦広場に配置し直すことができます。一部だけ復活させることはできません。

 共通ルール記事でも話しましたが、広場に一致する動物種のカードを捨てることは現地住民に助力を求めることを表すので、きっと一般動物さんに怪我人を救助させたんでしょうね。

ちなみにトリはワイルドカードなのでトリのカードでも発動できる。

 戦闘と言わずあらゆる場合と言ったのは当然戦闘以外で兵士を取り除かれることがあるためですが、案の定ここでは詳しく説明しません。ルールが多いゲームのさだめのようなものです、楽しみにしておいてください。

 野戦病院があるおかげで猫野侯国はマップ上の兵士総数を維持しやすく、広場支配力も維持しやすいです。辺境にいる兵士を城砦近くの重要な広場に少ない手数で配置し直すのにも役立ちます。ただし手札の使い過ぎには注意。

城砦に関する注意点

 城砦は建物ではなくトークンなので、広場の支配者を決める時の配置物の数に入れません。

 城砦を配置する手段はセットアップしかなく、一度破壊されるとそのゲーム中は二度とマップに配置されません。城砦がなくなると当然野戦病院も使用できなくなります。

 

小話

 放浪部族は戦闘せずに相手の兵士を取り除く手段を持ってたりするので、たまーに初手から兵士取り除いてから無防備状態の城砦を破壊しに来るサイコパス放浪部族が居ます。

 対処法としては手札にあるカードと同じ動物種の広場を城砦広場にして、兵士を取り除かれても即野戦病院で呼び戻して無防備状態にしないことが挙げられます。

 城砦についての説明も終わりましたので次からはいよいよメインコンテンツ、ターン中にできることについてです。

猫野侯国のターン

鳥歌フェイズ

各製材所に木材トークンを1つずつ配置する。

 そのままです。各製材所は自分が建ってる広場に木材トークンを1つずつサプライから配置します。この木材が猫野侯国の経済基盤なので、製材所の数は重要です。

 (滅多にないことですが)木材を生み出す時にサプライにある木材トークンの数が足りない場合、配置したい製材所を決めた後今ある分を全て配置します。

コンポーネントの上限について

 このゲームでは最初にサプライに用意されたコンポーネントの数がそのままそのコンポーネントが存在できる上限数となります。

 例えば木材トークンであれば、ゲーム全体で存在できる数はセットアップ時に用意した8個のみで、「木材トークンが足りないから五円玉とかで代用するね」みたいなことはできないのです。

 同じように兵士コマであれば最初に用意された25体が上限となります。

昼光フェイズ

 長いので翻訳は項目で分けます。

1st. 工房を起動してクラフト。

 手札にあるカードを好きなだけクラフトします。工房が足りていれば何枚でも。

 クラフトでアイテムを入手した場合、派閥ボードの右上にある作成アイテムボックスに置きます。

放浪部族はあなたにカードを渡すことでこれらのアイテムを入手できます。

 通常の派閥はアイテムを使用することができないので交易で放浪部族からカードを手に入れる以外使い道がありません。

 ていうか放浪部族はルールの例外が多すぎて多分これからもずっと他派閥の記事に出張してきます。

2nd. アクションを3回行う。手札にあるトリのカードを1枚消費するごとに+1アクション。

 昼光フェイズに行えるアクションは3回、5種類から選びます。また、任意のタイミングで手札にあるトリのカードを捨てることで追加のアクション権を得られます。

 普段は手を借りられる側だけどこのゲームではネコがトリの手を借ります。

 (公式ルールブック「根の法典」の日本語版では通常の3アクション行ってからトリのカードを捨てることになってますが、原文版ではエラッタが入り任意のタイミングになりました。アクションに反応して手札を奪う効果への対策ですね。この記事では原文版に準拠します。)

 行える5種類のアクションは以下の通り:

戦闘

 ボード上で単に「戦闘(Battle)」としか書かれていない場合は「戦闘できる広場を1つ選んでそこで戦闘を1回行う」という意味です。同じように「移動(Move)」としか書かれていない場合は「移動できる兵士が居る広場を1つ選んで、そこから兵士を1回移動させる」になります。

行軍:移動を2回行う。

 そのままです。建設の項目でもお話しますが猫野侯国は広場の支配が命なので、大量の兵士コマと野戦病院、そしてこのアクションで目当ての広場の支配を維持しましょう。

募兵:1ターンに1度だけ、各募兵所に兵士コマを1体ずつ配置する。

 猫野侯国がマップに兵士を配置する手段です。1ターンに1度だけですが、1アクションで募兵所の数だけ兵士が生まれるので兵士増加のペースは凄まじいです。むしろバランスを取るために回数制限されたと思います。

 木材トークンと同じく、募兵時にサプライにある兵士コマの数が足りない場合、配置したい募兵所を決めた後今ある分を全て配置します。こっちは比較的よく起こります。

建設:あなたが支配する広場1つに建物1つを配置して、そのコストを建設を行う広場とあなたが支配する広場で繋がっている広場に置かれた木材トークンで支払う。

 猫野侯国のメインVP源であり、一番複雑なアクションなので詳しく説明します。

 まず最初にあなたが支配していて、空の建物枠がある広場を1つ選びます。

今回は左のこの広場に建設します。

 次に建設したい建物を選びます。選んだ建物の列にある一番左にあるものが建設対象になり、その上に書かれた数字が建設に必要な木材の数です。VPに関わるので勝手に右から建設してはいけません。

募兵所を建設しましょう。コストは木材3個です。

 コストとして支払える木材は、建設をしたい広場から「あなたが支配している広場のみを通って」たどり着ける「あなたが支配している広場」にある物だけです。

 つまり「建設する広場」「木材が置かれている広場」「その間にある広場」全てをあなたが支配している必要があるわけです。

使用できる木材は◯がつけられた3つです。

 猫野侯国は支配が命であることはなんとなく理解できたかと思います。

 次は支払える木材からコストの数だけ選んで、それらの木材を取り除いてサプライに戻します。

 そしたら先程選んだ建物タイルを建物枠に配置して、満を持して建設終了です。建物エリアの空いたマスに書かれたVPを得ましょう。

募兵所を配置して、

3VPを得ます。カードアイコンは夕闇フェイズに引けるカードが1枚増えます。

 右に行けば行くほどコストが重くなり、その分得点も増えますので、猫野侯国は木材生産と広場の支配を強化しスムーズに建設を行うことが重要です。

建物の破壊について

 猫野侯国の建物が取り除かれた場合、それは建物エリアの対応する列の空のマスの一番右に戻ります。そのため破壊されて再建設する方が、破壊されなくてそのまま新しい物を建てるよりコストが安く済む可能性もあります。

 また、再建設するとマスが空いた時に得られるVPももう一度得られるので、建物の破壊にそこまで悲観しなくても大丈夫なことが多いです。

 長くなりましたが、アクションはあと1種類あります。

労働:製材所がある広場と同じ動物種のカードを1枚消費して、その製材所に木材トークンを1つ配置する。

 現地住民を労働させて木材を生み出す極悪非道なアクションです。ちなみに英語名である"Overwork"は他動詞として使うと「こき使う」という意味です。許されないですね。

 実際1アクションと手札1枚使って木材1個は非効率なので、最序盤のブーストと、即座に勝利に繋がる最終盤以外ではあまり頼りたくないアクションです。

 

 以上が昼光フェイズに行える5種類のアクションです。これらを3回(+トリのカードを捨てた枚数分)行ったら夕闇フェイズに移ります。(実はアクション権を消費しきらなくとも夕闇フェイズに進めていいのですが、言うまでもなく非効率なので避けましょう。)

夕闇フェイズ

カードを1枚引く、派閥ボード上の開放されているの数だけ追加でカードを引く。その後、手札が5枚になるようにカードを捨てる。

 手札を補充して終わりです。手札上限は5枚なので越えた分は捨てましょう。手札上限は全派閥共通で5枚で、越えた分を捨てるのが夕闇フェイズの終了時であることも共通です。

戦略イメージ

 以上が、猫野侯国ができることの全てです。

 メインVP源である建設にはコストが掛かり、高VPを得ようとするとコストも増えて、コストとなる資源の産出数にも限りがあるため、この手のゲームで一般的に強いとされる終盤に一気に大量にVPを稼ぐ戦術が取れません。序盤からコツコツ得点を稼ぎ、クラフトと配置物破壊の点数も稼いでいかないとVPが足りないイメージがあります。

 そしていくらサプライに兵士を25体持つ(全派閥中最多!同率1位が1派閥)猫野侯国といえど、全広場を制圧するには兵力が足りません。そのため予め「ここまでを領土にして、その内側の建物枠をできるだけ独占しよう」というように、事前に国境線を決めておくことが重要と思います。

 圧倒的な兵力で相手を叩けば問題ないのでは?と思うかもしれませんが、ここに猫野侯国最大の弱点が露呈します。それは「アクション数があまりにも少ない」ことです。

 トリのカードは引き運が絡むので一旦無視するとして各ターンに3回ずつ、生産基盤強化とVP稼ぎのためにできれば建設1回、支配を強めるために募兵もしくは行軍1回、すると可処分アクションが残り1回しかなく、これでは相手にちょっかいをかけるのがせいぜいでしょう。そして無闇にちょっかいを出しても配置物を破壊できなければVPにはならないのだ。

 参考までに鷲巣王朝では2ターン目になると最大6アクション行えるようになります。対抗のしようがない。(アクションがどんどん増える王朝側もおかしいし王朝もそれに見合うだけのデメリットを背負ってるんですけどね……)

 まぁ建物を建てるのは支配さえ出来ていればよいので、戦闘せずとも大量の兵士を置けば建設と相手の邪魔の両方を行えるので、あまり無駄な戦闘はせず支配のための兵数調整と建設に専念しましょう。

 そしてアクション不足と比べると少し弱いが間違いなくあるもう1つの弱点は「クラフトの余裕が少ない」ことです。

 猫野侯国のクラフトツールは工房ですが、工房の建設には常に「生産基盤となる製材所」と「支配の基盤となる募兵所」が競合相手として存在します。資源的にも建物枠の数的にも全建物を建てるのが非現実的である以上、何でもかんでもクラフトしたくて各動物種の工房を揃えるのは難しいです。

見ての通り募兵所はドロー枚数を増やす役割もある

 この弱点を克服するためには、クラフトしたいカードに狙いを定めて、優先して建設する工房の動物種を絞るといいでしょう。これを踏まえた上でオススメなのは「ウサギの工房2つ」です。

司令ウサギの巣 コスト:ウサギ2

自分の昼光フェイズの開始時、戦闘1回を行ってもよい。

靴直し コスト:ウサギ2

自分の夕闇フェイズの開始時、移動を1回行ってもよい。

良巣穴銀行 コスト:ウサギ2

鳥歌フェイズの開始時、君と、君が選んだ他プレイヤー1人はカード1枚を引く。

手作りお菓子セール コスト:ウサギ2

コインを得る、+3VP、このカードを捨てる。

 カードを一気に4枚も列挙しましたが、どれも猫野侯国にとっては垂涎ものの効果です。

 司令ウサギの巣と靴直しはアクション不足を緩和するのに役立ちますし、良巣穴銀行はトリの手を借りたり、野戦病院したり、強制労働したりとなにかと消費する手札を補充してくれます。また得点効率が一番良い3VPアイテムカードは全てウサギ2でクラフトできます。

 次点でネズミの工房1つがオススメ。こちらは単純に工房1つでクラフトできるカードが大体ネズミに集中しているためです。

 初期工房をウサギにするかネズミにするかは一長一短(ウサギは2つ目を建てないと目当てのカードをクラフトできず、ネズミはウサギほど欲しいカードがない)なので、手札と城砦の位置に相談しましょう。

 総合すると、

  1. 国境線をイメージして領土を決めておく
  2. 戦闘は必要かVP効率のいいものに絞って、アクションは支配調整と建設に使う
  3. 工房は絞る。オススメはウサギ2つ

 こんな感じでしょうか。猫野侯国はルールが単純なため初心者向けとして扱われますが、実はそこそこ考えないと勝てない派閥、というのが私の感想です。

小話

 上にある通り、ウサギでクラフトできる継続効果カードは行動回数や手札枚数を増やすものがメインです。また、ウサギでクラフトできるアイテムであるブーツとコインも放浪部族の移動回数と手札を引ける枚数を増やすものです。

 どうやらこの森のウサギさん達は仕事がテキパキできて、お金の扱いも得意みたいですね。

最後に

 猫野侯国の記事はこれで終わりです。気づいてしまったんですけど、どうも私がルートインスト記事を書く原動力は私が日本語のルート記事を読みたいってだけなんですね。まぁこれでルートに興味を持ってくれる人が増えれば私も万々歳です。内容についての指摘はいつでも受け付けております。

 次回は鷲巣王朝の記事です。素材集が充実しましたので記事制作速度は上がるかもしれません(不定)。では。